下着を買って旅に出よう!! それでも世界は回ってる クィーンヨシノブ号-それはかのタイタニックの現代版とも称される豪華客船。 まるで海に遊ぶ人魚の如く美しさで知られた、 世界に類を見ない超級のゴージャス船だ。 そんな夢の様な乗り物に、今ニューセレクトの社員全員が揃っていた。
「きゃっ!? ちょっ姶良さん、姶良さ〜〜んっ!!!!」 突然倒れた未織に驚いた桃が叫ぶと、林原の冷静な声が響いた。 「姶良なら船酔いで寝込んでるぞ?」 「ええっ!?」
未織を抱えた桃が林原の指し示す方を見ると、 「ふふっ!せっかくの船旅なのに、前もって酔い止め薬位飲んでおかないとっ!!!」 「そうよね〜〜っ!ドレスアップもばっちりにしておかないとっ!!!」
見れば船の甲板上で、まるで中世の貴族の様なドレスを着込んだ 「何あの格好…」
確かに誰もが旅行とあって着飾ってはいたが…と 「勘違いをするな〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」 突然現れた土方と永倉が左之代とぴるぽると蹴り飛ばした。 「あ〜〜れ〜〜〜〜〜っっっ!!!!」 「一同!今回の旅行について説明するから集まれ!!!」
甲板から海へと落ちていく二人を無視して、土方が全員に呼びかけた。
ビシィっと叫んだ土方が船の舳先を示す。
「ああ〜〜んっ!許しておくれよ土方く〜〜ん!! 「タイタニックは沈むだろうが、縁起でもない事言うなボケ!」 「あふ〜〜んっ!! ロミオ〜〜〜〜〜〜っっ!!」 「…というわけで、やっちまったものはしょうがないから、旅行は用意した。そこで…」
もう伊東を無視する土方に、全員が
「これより2ヶ月かけてこの船で世界一周をする!君らにはその間 「えええっ!?」 「全員、着替えろ〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」
鬼部長・土方の号令により、ニューセレクト社一丸となっての
「まもなく中国〜中国〜」
ピンポンパンポン♪という音楽に続いて流れたアナウンスに 「な、何ていうムードのないアナウンスっ」 「あら大変っ!神谷さんが倒れたわっ!!」 「はっ!?」
いきなり現れて叫んだ依吹に神谷が身構えた時、 「うわっ!?」 「きゃっっ!!?」 「さぁっ遠慮なくここでハネムーンを満喫して下さいっっ!!!」 「ちょっ!依吹さんったら…」
真っ赤に顏を染めて 「きゃぁっ」 と声を上げる依吹に、神谷が抗議の声を上げた。 「だ、誰でしたっけ?」
神谷がたまらずに尋ねた。 「新しく人事部に入りました、リオと申します。え〜では報告をさせて頂きます」 「報告?」 リオはいきなり胸元から拡声器を持ちだすと、大声で叫んだ。
「土方部長へ報告〜〜っ!! 斎藤部長と神谷さんと依吹さんが 「ええええ〜〜〜〜〜っっ!!?」
どこにしまってたんだそんなものっ!?と何て言う事を叫ぶんだっ!!と驚く三人に、 「…斎藤・神谷・依吹は罰として夕飯抜き〜〜〜〜〜!!!」 …土方の声だった。
がく然とする三人を残して、
中華料理の豪華ディナーをお客に配って、中国にサヨナラをする。
気の抜けたアナウンスが告げた通り、船はインドへと辿りついていた。 「やっぱりアナウンス変だよ」と呟くのは舞美。 「つか、インドに上陸したいよ〜〜〜っ!!」
対して藤倉が叫ぶそこは、食料庫の一角。 「まったく、世界一周って海の上だけならどこにいても一緒だって」 「本当よね〜。インドだったら象くらい見せろ〜〜〜〜っ!!」
がりがりとジャガイモを剥きながら叫ぶ林檎兄貴とおくら。 「何か全然ジャガイモ貯まらないんだけど?」
ん? と4人がジャガイモの籠を見た瞬間…4人ともに動きが止まる。 「象…?」 「象だ…」 「ぞ、象ってデカ〜」 「つか、何で…ジャガイモ食べてるのよ?」
目の前に象がいた。
「きゃ〜〜っ!ぴるぽるちゃんと泳いでたら、一足先にインドに着いちゃった! 「さ、左之代ちゃんっ!?」
驚いた視線の先にいたのは、象の上にまたがる左之代とぴるぽるの二人だった。
「リオから土方部長に報告しま〜す! 「はっ!?」
いきなり現れたリオに開いた口が塞がらない面々。 「営業部は来週一週間トイレ掃除担当〜〜〜〜〜っっっ!!!!」 唖然とする人々を残して、またもやリオは消えて行った。
「伊東部長ったら…お元気で」 「土方部長捕獲は私たちにお任せ下さいね」
チアキとぶー子が海に花を落とす最中、
「紅茶の〜ベッカ○の〜霧の都の〜ビートルズの〜イギリス〜〜〜」 「アナウンス長いわっ!!!」
まったく船から降りられない生活に林原が叫ぶと、 「外出たい〜〜〜っっ!!!」 「イギリス観光したい〜〜〜っっ!!!」 「王子様に巡り合いたい〜〜〜っ!!!」 ブーブーと叫ぶ人事部社員の不満はリオを通じて土方に届いていた。 「まったくぎゃーぎゃー言いやがって」
土方は報告を聞くといきなり部屋で着替え始める。
いきなり現れた美男子上司・土方に、 「何か不満でもあったか?」 そうニッコリと流し目で微笑まれて、部下達の目がハートマークに変わる。 「い、いいえ、ぜ〜んぜん!私たち船旅大好きです〜〜〜っ!!!」 「ふっ、そうか?」
わざとらしく土方が髪をかき上げると、一同から黄色い歓声が上がった。 「じゃあ、頑張ってくれ」 だが土方がそう言って去ろうとした瞬間だった。 「部長素敵〜〜〜〜っ!!!」 「愛してる〜〜〜〜っっ!!!」 「キスして〜〜〜〜〜っ!!!」 「抱いて〜〜〜っ!!!」 「うわっ!?」
いきなり野獣と化した部下達が土方に襲いかかったのである。
「部長…お邪魔してます」 「ぶっっ!?」 土方のベッドにD×Iがいたのである…裸で。 「な、な、お前そこで何してやがるっ!!?」 「そりゃ僕は部長のヒモですから、お勤めをしに」 んふふふっと笑うD×Iに、クラクラと眩暈を覚えながら土方は怒鳴った。 「馬鹿野郎っ!! 早く服着て出てけっ!ここは紳士の国イギリスだぞっ!?」 「え〜嘘ですよ〜ここは自由の国アメリカ」 「何だとっっ!?」
ひょうひょうと笑うD×Iがカーテンを開けると、 「え〜アメリカ〜アメリカ〜黒船ペリーのアメリカ〜」 「早っ!!!」
げっと驚く土方に、更に追い討ちをかける声が
思わず声に対して頭上を見上げた土方の部屋の扉がバーンと開く。 「…あ、いや、違うんだ、これは…待てっ」 「ひ・じ・か・た・ぶ・ちょ〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」
一斉に批難の怒声が上がると、 「や、や、やめろ〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」
土方の必死の悲鳴が響き渡る。 「ああ、満足っ」 そう言って笑いながら…。
「うわぁあ〜〜〜〜〜〜っっっ!!!?」 「ああっ!? 部長っ!!?」
バリーンっと弾け飛ぶガラスが、 「ああ、部長が…」 と誰かが絶望的な声を上げたその時。 「ひ〜〜じ〜〜か〜〜た〜〜〜くぅ〜〜〜〜んっ!!!!」 「あ!伊東部長!?」
誰かが遠くを指さす。 驚く人々の眼下で、伊東は落下してきた土方をナイスキャッチした。 「おおおお〜〜〜〜〜っっ!!!!」 思わず歓声を上げる人々。 「い、伊東っ!?」 「土方君、無事だったかい?」
伊東に抱きかかえられて土方の顔が青ざめる。 「さぁ、二人きりで旅にでようじゃないか!」 と。 「何だと!?」 「あ〜〜はっはっはっはっは!!!」
伊東の高笑いが響く中、シャチは二人を乗せて船から遠ざかる。 「日本〜日本〜やっぱり日本が一番だね〜〜〜〜♪」
「さぁ、明日から仕事だぞ〜」 と近藤社長の懐かしい声が、
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