愛の暴走 noncharant people 世はまさにバレンタイン。 お馴染ニューセレクトは女性社員が数多いので、 殺気立った日が続いています。
「ご無事で」
社員寮を出る際に、管理人の氷雪にそんな声をかけられれば 「い、生き延びてやるっ!!!」
こうして、そんな決意もむなしい土方の一日は始まった。 「なんだこりゃ?」
思わず呆気にとられて呟く土方に、 「全部あなた宛の荷物でしょう?」 「俺宛!?」
うげっと唸る土方に、斎藤がその小包みを一つ持ち上げて ドッカーン!!!! 突然その小包みが爆発したのである。 「…………っっっ!!!?」
頭上で爆発したそれから、土方が咄嗟に逃げる。 「な、なんじゃ!?」 驚いて叫ぶ土方に、どこからともなく声が聞こえる。 「…っち!」
はっと振り向いた土方の視線の先には、 「…………これは、危険ですな…」
そう斎藤が呟くよりも早く、
「な、何が目的なんだっ!!?」
叫びながら走る土方がエレベーター前に辿り着くと、 「部長、私からの気持ちです!」 「…いらん」 「そんな事言わずに」 「いらんっっ!!!」
とてつもなく嫌な予感にかられ、土方がくるっと背を向けたところで、 「うわっっ!!?」
チュドーン!!!とやはり土方の背中で爆発する小箱。 「っっくそっ!!!」 「部長めっけ〜〜〜〜っっ!!!」
階段を登り始めた土方に、天井からぶら下がった秋葉が 「ぐわっ!?」
ドドドドドドッと個別に着地しては爆発するチョコレイトに、 「ちっくしょ〜〜〜〜〜〜っっ!!! どっか判らない所に隠れて…」
必死に階段を登りながら呟く土方の耳に、
『社員の皆さ〜ん、土方部長は現在、 「なっっ!?」
いきなり自分の現在地を放送する声に、土方は思わず辺りを見回した。 「と、とにかくここを離れないと…」
慌てて階段を駆け登ろうとした土方だったが、 「な、何だ!? お、お前も被害にあって…?」 「アイラブ土方部長…」 「へ!?」
呆気にとられる土方の前で、D×Iは突然纏っていたコートをガバッと開いた。 「そ、それももしかして〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!?」 「僕の愛を受け止めて下さい〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」 「冗談はよせ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!」
突然ダイビングしてきたD×Iに、 「あ、よけないで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」
途中ですれ違ったD×Iが叫び、 「そんな危険な愛、誰が受け止めるかっっ!!!」
が、その時土方は気付いた。
恐る恐る自分の尻をそっと覗き込む土方。 「う、うわぁああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!?」
慌てて尻を叩いて火を消そうとするが、なかなか鎮火しない。 「うぎゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!」 「ダーリン私のお手製チョコが食べられないっていうの〜〜〜〜〜っっ!!!?」
そっと土方が営業部内を覗き込むと、そこでは永倉が椅子に縛りつけられて、 「熱っ熱っっ!! 馬鹿野郎!このチョコレイトは溶かしただけのもんじゃねぇかっ!!!」 「何よ、文句あるの?」 「ありまくりじゃっっ!!!」 「じゃあ部長、こんなのはいかが?」
左之代に怒鳴る永倉に、ぴるぽるがニッコリと微笑む。 「ば、馬鹿が〜〜〜〜〜っっ!!! し、死んじまうぞ〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」
口からチョコを吹きながら怒鳴る永倉の目の前で、 「ぴいぴいぴ…い…ぴ…」 「うわ〜〜〜〜〜っっ!!! 人殺し〜〜〜〜〜〜っっ!!!」 「何言ってんですか部長!鳥殺しですよ!!」 大騒ぎの永倉に、おくらが冷たい言葉を投げかける。 「そうそう。しかも、ヒヨコちゃんはお湯に浸ければすぐに復活するの!!」
当たり前のように言う左之代達に、 「酷ぇ…」
思わず呟いていた。 「うひゃいあああっっ!!!」
突然尻に冷たい物が触れた感触がして、土方は背後を振り返った。
「美しいお尻だね〜土方君〜」
すりすりと土方の尻に頬をすりすりする大鳥。 「も、もしかして…っっ!!!」 その不吉な想像を肯定するかのように、大鳥が笑った。 「可愛いお尻が丸見えだよ、土方部長」 「どあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」 その瞬間、土方は大鳥を殴り飛ばすと、慌ててその場から逃げ始めた。 「ああ、お尻が逃げていくっっ」
大鳥の叫びに土方は咄嗟に両手で尻を覆った。 「い、いかん、このままじゃ…襲われる〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」 そんな土方の耳に再び届く放送。 『土方部長が生尻を出しながら、屋上に向かって逃走中で〜〜〜〜っす!!!』 「黙れリオ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」
土方は必死に走りながら叫び…勢い余って窓から外に飛びだしていた。 「や、やべ…」
はっと正気を取り戻し、下を見た土方の顔が青ざめる。 「カモーン土方部長」 フフフフフと桃が笑う。 「お尻の火傷、治してあげますよ〜」 ニヤニヤと姶良が笑う。 「落ちてきたら、美味しく頂いてあげますよ」
不敵に林原が笑う。 「落ちたら捕まってしまうっ!!!!」 恐ろしい想像が土方の胸を鷲掴みにした、その時。 「助けてあげようか、土方君」 この世で一番聞きたくない声が、土方に降り注いだ。
「……助けろ」 ボソリと、土方は伊東に言った。 「了解した」
ニマ〜と笑った伊東に、土方は吐き気を覚えたが、ここはそんな贅沢も言ってられない。 「なっ何をするつもりだ!!!?」
驚愕する土方が見たもの。 「伊東部長の愛を受け取って下さいませ」 ニョキッと伊東の左からぶー子が顏を出す。 「企画部新開発の製品ですのよ」
ニョキッと伊東の右からチアキが顔を出す。 「な、な、何だそれは〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」 ひぃいい〜〜〜っっと叫ぶ土方に、ぶー子が説明する。
「企画部で開発しました!愛しいあの人を協力ゲットする、 「何でそれを伊東が垂らしてるんだっっ!!!!」
目の前にブラーンと迫るその物体に、土方が青ざめながら叫ぶ。 「これに掴まって脱出して下さい!!!」と。 「掴まったら離れられなくなるんだろうがっ!?」 「だから、伊東部長の愛です♪」とぶー子が。 「下に落ちるよりも、良いと思いますよ〜?」とチアキが。 「あの変な爆弾もてめぇらが作ったな!?」 「あれも新作です♪」
まったく悪びれない二人に、土方は本気で頭を抱えた。
土方は叫んだ。 「のぉおおおお〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!!」 叫ぶ土方。 「きゃ〜〜〜〜っっ部長〜〜〜〜〜〜っっ!!!」
歓喜する女性陣。 べチョ。
落下途中の土方の尻に、冷たい奇妙な感触が伝わってきた。 「……………な、何を…」
伊東の口から出た物体が、土方の尻にべったりとくっついているではないか。
地上から女性達の悲鳴が上がる。 「ふ、ふざけるな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」
叫ぶ土方の視線の先には、伊東がアドバルーンにぶら下がる姿が。 「馬鹿野郎、一体どこに行くつもりだ〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」
ぐんぐんと上空に上がっていく伊東と土方。 「愛の逃避行、お気を付けて〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」 そう言って二人は、アドバルーンをつなぎ止めていた部品を外してしまった。 「う、うわっ馬鹿野郎!! どうやって戻る気だ〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」 「お元気で〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!!」
ぶー子とチアキがハンカチを振る。 「誰か助けてくれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!!!」と。
空高く舞い上がる純情
来夢
> ニューセレクト人事部 D×I(♂・22…1/3誕生日でした)
2月14日、ニューセレクトは異様な緊張感で満ちていた。
僕も土方部長にチョコレート渡したくって、
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